この夏大注目の“進化系かき氷”
お盆休みが明けても、まだまだ残暑厳しいこの時期。暑い夏の季節に恋しくなるのが「氷」の旗でもお馴染みのかき氷。冷たくて美味しいのはもちろん、見た目の繊細で涼しげな美しさも大きな魅力ですよね?
そんな夏の風物詩のかき氷ですが、どんどん進化していることをご存知ですか?ここ数年はかき氷専門店を中心に、趣向を凝らした独創的な“進化系かき氷”が次々と登場し、「カキゴオリスト」なるファンを生み出すほどのブームとなっています。
今回は、そんな進化系かき氷についてご紹介したいと思います。「正常進化」から「突然変異」的な異端児まで、数々の進化系かき氷があるので、皆さんも是非この夏食べてみてくださいね。
清少納言もかき氷を食べていた?
そもそもかき氷はいつからあるのでしょうか?実はその歴史は大変古く、清少納言の「枕草子」に、刃物で削った氷を金属製の器に盛り、「アマヅラ」と呼ばれる蔦の樹液を煮詰めた甘味料をかけて食べたという記述があります。枕草子は平安中期に執筆されたと言われているので、1000年以上も前からかき氷があったと思うと驚きですね。もっとも、当時氷は大変貴重なもの。かき氷が食べられたのは一部の特権階級の人に限られていたそうですが…
庶民に親しまれる存在に
そんな高級品だったかき氷ですが、明治の終わりには製氷技術も発展し、また、かき氷機も発明され、広く庶民に親しまれるようになりました。昭和に入ると氷シロップも登場し、現在のように色鮮やかで美味しいかき氷が手軽に楽しめるようになりました。
多様化して人気再燃
こうして夏の定番となったかき氷ですが、2010年代に入ってからは新たなブームとなっています。以前からアイスや果物をトッピングしたものはありましたが、最近はナッツ類やチョコレート、スーパーフードなど、トッピングのバリエーションもかなり多様化しています。また、氷そのものも進化していて、果汁を凍らせた「フレーバーアイスブロック」を使ったものや、「ふわふわ系」と呼ばれる綿あめのような食感のかき氷なども登場しています。
貴重な天然氷が味わえるお店も
天然氷にこだわったお店も登場しています。天然氷は明治時代に盛んに作られていましたが、製氷技術が発展すると共に、簡単でリーズナブルに作れる人工氷に取って代わられるようになりました。現在では天然氷を作っている業者はとても少なく、その希少性とまろやかな口当たりや優しい口溶けが評判を呼び、天然氷のかき氷店は連日行列ができるほどの人気です。
アジア系かき氷店の日本進出
また、台湾や韓国に本店を持つかき氷店も日本に進出しています。
台湾かき氷はフレーバーアイスブロックを使うのが特徴です。数年前に一大ブームとなったので覚えている方も多いと思いますが、人気はやはり名物のマンゴーかき氷。マンゴーアイスブロックをふわふわに削り、マンゴー果実やマンゴーシャーベットがたっぷり乗ったボリューミーなかき氷は、一度食べるとハマってしまう方も多いとか。
「ソルビン」の名称でも有名な韓国かき氷は、パウダースノーのようなきめ細かい氷が特徴です。トッピングも独特で、アイスクリームやソフトクリームはもちろん、小豆+黒ごま、きな粉&きな粉餅など、オリジナリティに溢れています。独特のフレーバーと、口に入れた瞬間にふわっと溶けていく食感が人気です。
フォトジェニックなかき氷が人気
その他にも、メレンゲやエスプーマと呼ばれるムースをかき氷にかけてバーナーで炙る“炙りかき氷”や、カスタードソースに卵黄が乗ったプリン味のかき氷、どこからどう見ても見た目はケーキなのに実は中がかき氷というショートケーキかき氷など、味はもちろんルックスのバリエーションも数え切れないくらい多岐に渡っています。どれもフォトジェニックでインパクトが強いので、SNS映えすること間違いなしですね。
もはや主食!?メシ系かき氷
そして令和となった今年大注目なのが“メシ系”かき氷です。読んで字のごとく、「かき氷=スイーツ」という概念自体を覆す、超進化系かき氷です。
どのようなものがあるかというと、酒粕とこしょうを使ったシロップのかき氷や、とうもろこしとチーズをトッピングした焼きとうもろこし風かき氷、さらにはカレールーを使ったかき氷、餃子の具をペースト状にしたものをかけた餃子かき氷、コッペパンをモチーフにしたかき氷など、常識に捉われない自由な発想から生まれたかき氷が登場していて、SNSなどでもじわじわと人気が上がっているそうです。
もしかしたら近い将来、冷やし中華やそうめんのように、かき氷も夏の主食となる時代が来るのかもしれませんね。
現在進行形で進化を続けるかき氷、皆さんもそんな進化系かき氷を楽しみながら、来年はどんなかき氷が登場するのか、想像を膨らませるのも面白いかもしれませんね。
リサーチャー:T