この度、ゼネラルリサーチ株式会社(代表取締役:五條 寿朗、本社:東京都渋谷区)は、「引きこもり」に関する意識調査を全国の10代~60代の男女を対象に実施いたしました。
「8050問題」という言葉を聞いたことはありますか? 「8050問題」とは、80代の高齢の親と、50代の引きこもりの子が同居する家族における問題のことを言います。 引きこもりは、若い世代に多いという印象が強いですが、引きこもりが長期化するにつれ、当時は若かった世代が現代では中高年と呼ばれる世代となり、「8050問題」として現代の社会問題と化しています。 そして、ここ最近起きた痛ましい事件は「引きこもり」に関連付けられ、テレビやインターネットではさまざまな意見が飛び交っています。 そこで今回ゼネラルリサーチでは、家族に引きこもりがいる方を対象に、「引きこもり」について意識調査をしました。 これまでの一連の事件を受けて、今ご家族はどのような想いで過ごされているのでしょうか。
1.引きこもりの方との関係性と現在
2.引きこもりの方の元々の性格
3.引きこもりになった原因
4.引きこもりについての相談先
5.一連の事件について
6.総括
まずは、「ご自身の家族、もしくは引きこもりだった方はいらっしゃいますか?(本人も含む)」と質問したところ、全体の15%の方が「はい」と回答されました。 また、「現在も引きこもっていますか?」と質問したところ、半数近くの方が「はい」-45.9%と回答し、全体の1割近くもの方が何らかの形で「引きこもり」に関係していることがわかります。
「引きこもりとなった方は元々どのような方でしたか?」と質問したところ、「おとなしく目立たない」-43.4%という回答が多く、次いで、「優しくて親切」-22.7%、「明るく活発」-22.0%、「リーダー的な存在」-5.2%、と続きます。 「おとなしく目立たない」という回答が多いものの、全体の6割近くを元々社交的だった方が占めていることから、何らかのきっかけがあって社会との関りを絶ってしまうという方が多いようです。 では、引きこもりとなった原因はどこにあるのでしょうか。。
「引きこもりとなった原因を知っていますか?」と質問したところ、「全て知っている」-35.6%と回答した方の割合が最も多く、次いで「少しだけ知っている」-30.3%、残りの3割は「よくわからない」、「全くわからない」と回答しました。
ここでは、程度の差はあれど7割近くの方が引きこもりとなった方の原因を把握していることがわかりました。
そこで、「引きこもりとなった原因は何ですか?」と質問したところ、
・中学校の時代にあった学校でのちょっとしたイジメ(女性 20歳未満 広島県 無職)
・姪が引きこもっていますが、引っ越しで環境が変わって、クラスで無視されたのが原因と聞いた(男性 50代 兵庫県 会社員)
・数年勤めた会社を人間関係が原因で離職して、精神的に落ち込んでいた(女性 40代 東京都 主婦)
・仕事関係による自信喪失、及びそれによる他者への拒絶感(男性 40代 北海道 パート・アルバイト)/etc
上記のような意見が集まりました。
いわゆる「引きこもり」の方に対しては「怠けているだけ」、「甘え」などの心無い意見を見かけることが多いと思います。
しかし、実際に「働くのが面倒くさい」といった回答はごく少数に留まり、多くの方は様々なコミュニティで対人トラブルがあり、それが原因となって社会とのつながりを絶ったという傾向が見られました。
また、原因を知らないと回答された方に、「原因を知りたいですか?」と質問したところ、「はい」「いいえ」の回答はほぼ同数となりました。引きこもりの方としっかり向き合いたいという想いを持つ一方、原因を知ったところで自分では対処ができないといった、複雑な想いを持つ方が多いということなのでしょうか。
「ご家族の引きこもりの方について、誰に相談しましたか?」と質問したところ、全体では6割近くの方がいずれかの方に相談したという結果になりました。 内訳に関しては、「カウンセラー」-17.9%が最も多く、次いで「家族」-16.7%、「行政や民間の対策ネットワーク」-7.7%と続きます。 プライバシー保護の観点から、カウンセラーや家族、行政や民間の対策ネットワークといった、近い間柄の方に相談する傾向にあることがわかりました。 「相談した結果解決しましたか?」と質問したところ、「いいえ」という回答が6割近くになり、相談だけでは根本的な解決には至らないことが分かりました。 引きこもりの方へは適切なアプローチと周囲や行政の協力も必要といえるでしょう。
ここ最近は、家族間のトラブルや通り魔的犯行が「引きこもり」と関連付けられています。 様々なメディアやインターネット上で、関連性のない事柄まで「引きこもり」と関連付けられた結果、ますます社会から孤立してしまうのではないでしょうか。 本人のみならず、生活を共にする家族でさえも社会から拒絶される可能性もあるでしょう。 そこで、「ここ最近起きた家族間のトラブルや、通り魔的犯行などの一連の事件について感じたことを教えてください」と質問したところ、大別すると以下のような傾向がみられました。
・「現代における社会復帰をすることの難しさをどうにかしないといけない」
・「私たち(親、兄弟)が死んだらどうしよう」
・「引きこもりの人という犯人像だけが一人歩きしているように感じる」
・「親の責任が大きい(育て方)」
立場が違えば意見も違うということは当然でしょう。それでもこの問題を何とかしなければならないという共通の思いが主な意見として挙がりました。 特に、当事者の方やそのご家族からは「引きこもりの人という犯人像だけが一人歩きしているように感じる」といった意見が多く、そこに当事者と世間に乖離があるのではないでしょうか。
現在、中高年の方の引きこもりは全国推計で61万人を超えていると言われています。
きっかけとしては受験期の失敗、人間関係の悩み、病気や定年を迎えて引きこもるようになったなど様々です。
本人は何とか生活を立て直したい、社会復帰したいと考えているでしょうが、日本における社会構造ではなかなか社会復帰しにくいというのが現状です。
今回の調査では、そんな悩みを抱えているのは本人だけでなく、周囲の方も同じように悩み、行政やカウンセラーに相談していますが、解決に至らないといったことが多々あることが判明しました。
児童青年期の引きこもりはもちろんですが、中高年の引きこもりも親の高齢化や病気などで追い詰められている状況にあります。
引きこもりは本人の怠惰な性質によって引き起こされるものではなく、周囲との人間関係や社会とのつながりに限界を迎えてしまった方が多くなります。
そういった方を、地域や企業がどう受け皿になってサポートをするかということが大切であり、社会問題としての認識を個人がしっかりと持つことこそが大事なのではないでしょうか。
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